Interview

●最終的には、メンバー自身がどう感じるかにかかっているわけですよね?
加藤:そこは提案してみないと、反応がわからないんですよね。出した案がそのまま通ることもあれば、また違う角度からの要望が出てくることもあって。その時のメンバーのモードや、出すタイミングにも拠るんでしょうね。People In The Boxの場合は毎回“無言の要求”を受けて、そこに僕らが挑んでいるという感じで。“これは君たちの考えているところに行ったでしょ?”みたいな提案をしていく感じですね。
●色々やってきた中でも、特に大変だったことは何でしょうか?
加藤:食器関連にどんどん入り込んでしまったんですよね。最初は普通に記念的な要素のマグカップから始まったんですよ。そこからシリーズ化することになって、次はグラス~お皿~フォーク&スプーンという流れになって…。食器が続いたことで、その流れをつなげていくというのが一番大変だったかなと思います。バンドのブランディングをしっかりと守りつつ、さらに高めていくことが大事なので、やり甲斐はありますが、プレッシャーもありますね。
●アーティストのブランディングを考えつつ、ちゃんと売れるものを作らないといけないというのは大変では?
加藤:“数字を弾く”っていうところが、本当に大変なんです。経験があって慣れているマネージャーさんやマネジメントが組織化していれば大きな問題はないんですけど、初めてのアーティストって大半がそうじゃないんですよね。個人だったりしますし。その場合はこちらが数字の管理をしてあげないと売れ残ってしまうことがあるし、逆にすぐ売り切れちゃってお客さんからクレームがきたりもするんですよ。
●そういう見込みを立てることが大切であり、大変でもある。
加藤:だからツアー全体のキャパシティは、気にしますね。動員がどのくらいになりそうかディスカッションをして、ツアーの日程を見ながら「ここまでの様子を見て、ここで追加をかければ、ここには間に合うね」みたいな話も事前にしたりして。特にインディーズバンドの場合はそこがちゃんと作用していないと大事な予算があっという間になくなってしまうので、厳しいこともちゃんと言うようにしています。
●アーティストのことを考えているからこそ、現実的なこともちゃんと伝えるわけですよね。
加藤:そうですね。グッズが売れることで資金源になって音楽活動も円滑に続けられるわけで、売れないとお互いにハッピーにはなれないんですよ。どちらかが良ければ良いんじゃなくて、お互いに上がっていかないといけないから。現代のグッズ制作というのはバンドにとっての“生命線”みたいな部分を担うことになるので、自分たちも右から左へ受け流すような仕事は絶対できなくて。相手の立場に立って接して、売れたら一緒に喜びたいんです。そこは常に意識していますね。
Interview:IMAI
加藤晴久
Designer
加藤晴久
Haruhisa Kato
音楽やデザインという感性ではメシは食えない!という自論を持つ親の元で育ち、一時はその道を絶たれスポーツメーカーに就職するものの、夢をあきらめきれずにバンタンデザイン研究所に入学する。その後、デザイン事務所に再就職をし、アパレル商社デザイン部門の立上げを経て、独立。株式会社楽日(ラッカ)を設立する。凛として時雨、RADWIMPSをはじめ数多くのアーティストのプロダクト・ディレクションを行う。

年間数万枚のバンドTシャツを世に輩出し、Tシャツ制作請負人の地位を確立していく。全国各地にプリント職人のブレーンをもち、様々なプリント手法によるデザインの再現性を追求し続けている。さらに、自身所有のインクジェットプリンターを熊本在住のブレーンに預け、アトリエ兼ファクトリーとして稼働させる。

2011年、かねてからの目標であった、カフェとギャラリーの複合店を奥原宿にオープンさせる。2016年12月、自身が編集長を務める媒体、共創メディア『LUCKAND』の発行に伴い、「LUCKAND-Gallery Cafe&Bar-」の名義で店をリニューアルし、未来のクリエイターたちの交流の場所として発信を始める。また、2017年より、これまで培ってきたプリント技術と日本に数台しかないインクジェットプリンターを駆使し、様々なクリエイターの作品をTシャツにプリントして展示する【TaG】(T-shirts Art Gallery)を開始する。