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People In The Box × People In The Box #3

●ちなみに今回は、どの曲が大吾くん発信なんですか?
波多野:「無限会社」とM-5「デヴィルズ&モンキーズ」ですね。他にも、リズムパターンとかはめちゃくちゃもらっています。特に「デヴィルズ&モンキーズ」は前半のヤマ場にするというのは、最初に聴いた時から決めていて。
●この曲ができた時点で、アルバム全体のイメージも見えていた?
波多野:「デヴィルズ&モンキーズ」は、制作の中盤くらいにできたんです。曲が出揃ってきたところで、僕の頭の中でおぼろげながら全体像が見え始めた頃に出てきた曲ですね。“これを核にしよう”と思いました。
●核にしようと思った理由とは?
波多野:今までにない感じというか。さっきの“バンドでしかできない”という話を補足すると、この3人で音楽の話をする時って“形式”についてはあまり話さないんですよ。たとえば「このジャンルのこういう部分のこういう良さが…」というところをサンプリングしようとは全然思っていなくて。それぞれの根源的な、生理的な気持ち良さというか、“ここ良くない?”というところをPeople In The Boxでやれるのが嬉しいんです。
●根本的な気持ち良さをバンドとして共有している。
波多野:また別の角度から言うと、今の音楽って“新しい”の意味合いが変わってきていて。みんな、“形式”の組み合わせで新しいものを作ろうとしているんですよね。何かと何かを組み合わせて、今までになかったものを作るというか。でも僕にとって現代の“新しさ”というのはもっと人間の根本的な欲求だったり、“わけわからないけど、良くない?”の積み重ねであって欲しいんです。
●言葉では説明できないけど、根源的に良いと感じるものというか。
波多野:大ちゃんの曲には、それが強くあったんですよね。何かの真似をしているわけではなく、単純に“生活の中でこういうものが出てきたんだろうな”っていう。そこが自分の最近の感じともリンクしていたんです。あとは、その中で僕も“自分にしかないもの”を探している感じもありました。“自分らしくありたい”という次元は、もうとっくに超えちゃっていて。
●“自分にないもの=新しい”というわけではない?
波多野:それって、自分にとってはでしょ? 僕にとっての“新しさ”とはもっと広い意味で、“2018年の音楽”という意味での新しさというか。僕らは“形式”としては、新しいことは何1つやっていないんですよ。ただ、このアルバムを聴いてもらったらわかると思うんですけど、僕らは“2018年のバンド”然としている。作品も現代をすごく象徴する内容になっていると思っていて、そういう次元でやれているというのが相当嬉しいんですよね。
●そういうものにしたいという認識は、メンバー間で共有していたんですか?
山口:共有はしていないですね。こうやって話す場がないと、そういう話はしないから。
●そこについて話し合ったりはしないんですね。
波多野:結局は話し合って得られることなんて、ただの情報なんですよ。お互いの顔を見ていたら、“どういう状態か?”というのは何となくわかるから。話さないといけないことは折に触れて話すんですけど、逆に音楽って話さなくて良いこともあるなと思っていて。申し合わせたら、魔法がなくなっちゃうというか。
●だから、あえて事前に申し合わせはしない。
波多野:でもお互いに奥行きを感じられるというのが、めちゃくちゃ良いと思っていて。デモのやり取りをしていく中で“どう返ってくるんだろうか?”というのがあるし、そこではちゃんと説明もするんですよ。
●説明するべきところはちゃんとする。
山口:波多野ちゃんは俺に言わせると、文章が長い。“ちゃんと伝えたい”という意味で、俺は受け取っているけど。
波多野:すごい長文を書くんです。でも思うのは、長文は伝わらないっていうことで。あと、健太は長文を読めない!
●ハハハ(笑)。そう言われていますが、本人はどうなんですか…?
福井:(自分の中で)色々と探っていって“あっ、こういう感じなんだ?”と思って。そこからもう1回読み返して“あっ、こういう感じなんだ?”というのを繰り返しています。
波多野:えっ、読み返してくれているの!?
山口:むしろ“本当に聴いてる?”くらいのレベルかなと思っていた。
福井:申し訳ないです…。
●そのくらい反応がない?
山口:“この人、本当に聴いているのかな?”と思うことがあって。データを送っても、何も返ってこないことがあるから。「了解です」とか「良いと思います」程度のことも返ってこないんです。だから僕と波多野ちゃんが、後出しジャンケンで“あいこ”を出すような感じになるんですよね。
福井:あ〜…。
●“後出しジャンケンであいこ”を出すというのは?
波多野:本当は一気に行けるところを、最後にまとめないというか。たとえばTシャツのデザインとかで“大体こうだな”とみんながなっている時に「じゃあ、これですね」くらいの一文が健太からあれば、マネージャーの「で、どうしましょう?」という確認が必要なくなるじゃないですか。
山口:そういうのが“後出しジャンケンであいこを出す”ということなんです。
●同じことを思っているのに、その場では何も言わないというか。
福井:自分の中では、そういう感じだとは思っていないから…。
波多野:思っていないでしょうね! そこなんですよ。僕らも“悪気はないんだろうな”と思っていて。でも逆に悪気がないから、そういうことができるんです(笑)。
●ハハハ(笑)。何か別の考えがあって、返信しないわけではない?
波多野:何も考えていないんじゃない?
福井:何も考えていないです…。
波多野:新曲のデモを送ったのにメールが返ってこないとか、余裕でありますもん。だから“あっ、気に入ったのね”みたいな。
●良いほうには捉えているんですね。
波多野:はい。文句があったとしても、返信がないわけですから。最初は“気に入ってもらえていないのかな…?”と心を腐した時もあったんですけど、スタジオで会った時に「あれ、すごく良かった」とか言われたりして。“返事はなかったけど、そうなんだ…”みたいなのが未だに続いています。きっと本人に悪気はないんでしょうけどね(笑)。
山口:こういうところも露骨に出るのが3ピースバンドなんですよ。あくまでも僕の考え方ですけど、“演奏する”というのはバンド活動の中の1要素にしかすぎなくて。それだけやっていても、意味がないんです。だからバンドで何かをやるという時にはみんなでそこに向かっていかないといけないし、それができないんだったら難しいですよね。
●3ピースバンドをやるからには、そういうバランスが必要だと。
山口:そこのバランスは僕と波多野ちゃんの間で取れているから今は何とかできていますけど、今後できなくなる可能性も0ではないですからね。それはわからないですよ。このバランス感でずっと続いていくバンドもあるし、そういうものが悪いわけではないと思うから。
波多野:僕はどちらかと言うと、本当はだらしない側なんですよ。だらしない側がこんなに頑張っているのに、“何してんだ!?”と思うことはよくあります。(福井に向かって)…あんた今、視線で外(※マネージャー)に助けを求めていない?
福井:求めていないです…。
●当たりがきつくなってきた(笑)。
山口:この2人の関係はこういう感じで成り立っているから、こっちもそういう感じで見ているという部分も僕はあるかな。
●でもちゃんと3人で、三角形を成してはいるわけですよね?
波多野:また上手いところに着地させようとしてっ!
●すいません…(笑)。
山口:僕が今言ったのは、そういうことじゃないんですよ。三角形でなくてはいけないとは思うんですけど、“正三角形”である必要はないと思うんです。
●たとえば二等辺三角形だったり、3辺が均等でなくても良い?
山口:それでも良いんですけど、そこのバランスが崩れる可能性は0ではないと思います。だから、どんなに仲が良くて売れているバンドでも一生続くことはないと思っているんです。このバンドも一生続くわけではないと思っていて。でも一生続けられるようにこのバンドを大切にしないといけないと考えるのは、それぞれの気持ち次第というか。俺はこのバンドを大切にしたいから、“正三角形じゃなくてもやっていける”というところが1つの究極だと思うんです。
●どんな形であっても、続けていく意志がある。
山口:だから曲も書くし、トライするキッカケがあれば色んな曲を作ったりもして。大切にしているからこそ、“今回上手くできたから来年はもっと上手くいけるよね”という気持ちにもなるっていう…そこだけです。
波多野:バンドへの気持ちが強くなったという点で言うと、僕なんて昔は“花火を一発打ち上げて終わっても良い”くらいに思っていたんですよ。それが途中で変わって。僕に関してはこの2人のメンバーを選んだという経緯があるわけで、自分が“この人とやりたい”と100%思った相手だから選んだんです。だからはっきり言って、僕が「やめる」と言ったらもう終わりなんですよ。それに気がついた時に、“このバンドを終わらせたら俺も終わるわ…”と思ったんですよね。自分を否定することになっちゃうから。
●自分が選んだメンバーと一緒にやっているわけですからね。
波多野:それも少し語弊があって。要するに自分が終わらせようと思ったら簡単に終わるということは、その選択肢って僕にはないなという…。(福井が席を立とうとしているのを見て)今、良い話をしているところなんですけど!
福井:すいません、尿意が…。
山口:自分が一番聴いとかんといかん話やろ!
波多野:膀胱破裂させろよ!
●ハハハハハ(笑)。まあ、話を続けて頂いて…。
波多野:結局それって、大吾がさっき言った“自分がそう決めた”から努力するというところに、僕は一番価値を感じているというか。その積み重ねかなと思いますね。
●価値を感じることをちゃんとやれているというのが大事なのかなと。
波多野:“やれている”というか、“やろうと思う”というのが意志だから。自分はポンコツですけど、メンバーを選ぶ才能だけはあると思っていて。
山口:他のバンドのプロデュースとかなら、“この人とこの人が混ざって、ヴォーカルがこの人だったら良い音楽ができそう”ということが、音楽性だけの目線で見れちゃうんですよ。でもバンドとなってくると、そこに人間関係も入ってくるから…。
波多野:僕はそういうのは向いていないと思う。“自分だから”というのが大きいですね。(福井がトイレから戻ってきたのを見て)今、一番良い話終わったからね。あなたの膀胱の破裂は阻止できたんだろうけど。
福井:すいません…。
People In The Box
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People In The Box
Vo./G.波多野裕文
Ba.福井健太
Dr.山口大吾